令和7年度事業計画
基本方針
前掲の、国・全国本部及びセンターの事業方針(「情報収集・情報発信強化に向けた取組」「掘り起し支援の強化」「事業承継・引継ぎ支援の充実」「その他の事業承継ニーズへの対応」「健全なマーケット形成に向けた取組」)に基づき、下記重点項目のもと当センターの目標の達成に向けて取り組んで行く
7年度取り組みの「ポイント」
1.基本方針
団塊世代経営者の大量引退時期に突入し、地域経済の持続可能性が問われる中、事業承継は「経営の課題」であると同時に「地域の社会課題」である。センターは、事業承継診断や親族内での承継支援を通じて、商工会や商工会議所との間に良好な関係を築いてきた。一方で、第三者への承継支援なども含めたセンター全体の支援機能については、商工会議所を含む170 の構成機関すべてに正しく理解され、十分に周知・活用されているとは言えない状況にある。これらの課題を念頭に、地域の支援機関や行政機関と一体となり、事業承継・引継ぎ、廃業防止、雇用維持、経営資源の継承を通じて地域経済の維持発展に貢献する。
2.実施体制の強化
(1) エリアコーディネーター体制の活用・強化
- 各地域(4 地区)に配置されたエリアコーディネーター(AC)が地域特性に応じた支援を担う
- 商工会、商工会議所、自治体、金融機関と密接に連携し、掘り起こし、案件化を加速する
(2) サブマネージャー(SM)の拡充
- 福岡商工会議所OB等をSMに新規登用し、経験、ネットワークを活かし既存の支援機関はもとより、未連携機関への訪問等を通じ、案件の増大や支援機関の裾野拡大を加速する
(3) 全職員の目標意識醸成
- 毎週の全体カンファレンスにより進捗を可視化し、個別支援の精度、実効性を向上する
3.重点実施事項(強化ポイント)
(1) 支援機関連携の強化
① 自治体との連携強化
※福岡県商工部と連携した基盤作り
- 福岡県内に20 万を超える事業所が存在するといわれる中、裾野広く県内隅々まで情報を届けるには、基礎自治体の持つハブ機能(連携体制構築、広告塔等)の発揮が有効であることから、福岡県商工部と連携し自治体向けセミナーや勉強会を開催し自治体職員の意識醸成を図っていく。
- 職員の意識醸成と合わせて、事業承継の悩み・支援ニーズを掘り起こすための自治体起点の説明会やセミナー開催を展開するスキーム運用が重要。
- 地方広報誌、市報などを活用し、地域住民への周知と気運醸成を図る
- 各自治体の主催するセミナーや相談会に参画、地域密着型の支援体制を確立
- 自治体の「情報ハブ」機能を活用した自治体Web等の媒体による情報発信強化
- 福岡市コンソーシアム、北九州市「のれん引継ぎプロジェクト」の推進
- 自治体対象アンケートや合同勉強会での意識醸成
- 商工団体・自治体連携での事業者アンケート・相談会を開催
② 弁護士会、士業団体との連携
- 契約トラブル防止、法的課題解決に向けた初期段階からの連携体制を構築
- 初期段階からの法的課題洗い出しによるトラブルの未然防止
- セカンドオピニオンの活用提案
③ 中小企業活性化協議会、よろず支援拠点との連携
- 各機関の得意分野を活かした「役割分担と協調的支援」を実現(得意分野の相互理解促進)
- 再生・改善・承継・スポンサー探索など広域支援を連携して対応
- 相談内容を正確に次の相談担当者へ引き継ぐことで、相談者(事業者)への一方的なアドバイスとなることを防ぎ、対応の一貫性を保つことで混乱を防止する
(2) 情報発信、メディア活用と市民への広報強化(社会課題としての認知拡大 単なる廃業問題ではなく社会的損失である)
- 「2025 年問題」の社会的意義を行政、事業者、支援者のみならず、メディア・記者にも訴求
- 各立場の面々の理解促進に努め、無償(パブリシティ)、有償での広報活動を強化
- 専門用語を使わず、平易で伝わりやすいコンテンツによる市民向け広報を徹底
- サイネージ、郵便局、交通機関等の生活動線での広報展開し、一般市民も巻き込み気運を醸成する
- 平易な表現で赤字・債務超過の企業も対象なる旨明記する
(3) 掘り起こしとマッチング支援の拡充
① 小規模事業者の掘り起こし強化
- 廃業相談対応においても、経営資源(人材、設備等)の承継支援に繋げる(後述補足)
- 診断結果を踏まえたフォローアップ、再アプローチを継続
- エリアコーディネーター・経営指導員と共同で訪問、案件化
- 金融機関・士業向け研修、税務相談所職員、起業家向けセミナーを展開
- 巡回支援の強化(AC同行等)
- 福岡商工会議所OB をSMとして新規登用
② 登録機関・民間事業者等との連携
- 商工会、金融機関等との定期的意見交換会、研修を通した共通認識の醸成
- センターは「金融機関が踏み込みづらい」小規模ゾーンをカバーする補完関係にある
- 役割分担による協調的取組みを推進
- オープンネームプラットフォーマーとの連携強化(ライトライト、バトンズ等)
- 財務では見えない価値(老舗、立地等)を評価し、マッチングを促進
- 日本政策金融公庫と連携した相談会(県内5支店)
③ 買手探索機能の高度化
- 買手探索専用メール便システム(ノンネーム配信)の継続運用と機能強化
- ノンネーム情報の定期配信によるマッチング
- 成約事例を活用したマッチング促進、情報交換会の開催
- 行動分析を活用したシステム機能の向上(システムの改修)
(4) サプライチェーン維持のための事業承継
- 製造業・取引先間での事業承継(顔の見える関係)を推進
- 地域産業の維持、雇用確保に資する承継案件の発掘、支援
- 商工会議所議員総会等を通じ、業界団体への周知、理解促進を図る
- 廃業が取引先全体へ波及するリスクへの対応
(5) PMI(事業統合後支援)体制の構築
- 事業統合後も円滑な運営が継続できるよう、診断士、専門家を連携し支援
- 基本合意後のフェーズにおける支援の必要性について譲受企業に情報提供
- 成約後の支援(PMI)を支援メニューに取り込み
4.地域別重点方針
- 製造業比率が高く、事業承継に時間と準備を要する地域
- 北九州市、北九州商工会議所と連携し、隔週で相談会を開催
- 地域産業ネットワーク(産学官金)による支援体制強化
- 福岡財務支局が金融機関等や地域支援機関を対象に「福岡地域しんこうコンソーシアム」ミーティング(第9 回)を開催(昨年に続けて、金融機関や税理士を対象に、事業承継・引継ぎをテーマに)
5.その他留意事項
- 高齢経営者に配慮し、Web面談の補完としてタブレット端末を導入
- 外部の専門家や支援機関を活用する場合でも、手数料補助や低廉な報酬スキームを活用
- 統計や実績に基づいたKPI管理とフィードバックによりPDCAサイクルを確立


