事業を続けてこられた皆さまにとって、「廃業」という選択は決して軽いものではありません。長年の努力や想いを整理するには勇気が必要です。後継者不在で廃業を選ばれる方、債務超過のため廃業(破産)を選ばれる方など理由は様々です。
廃業には経営責任から解放されることや後継者への負担を減らすことができること等のメリットがある一方、長年培ってきた会社の歴史やブランドが失われ従業員や取引先にも影響が生じるというデメリットもあります。

メリット

  • 経営責任や将来の不安から解放される 
  • 赤字事業や将来性のない事業を整理できる 
  • 新しい人生設計(引退・再挑戦)に集中できる

デメリット

  • 従業員の雇用や取引先との関係が失われる
  • 会社の信用・ブランド・ノウハウが消滅する
  • 清算費用や借入金の返済が発生する場合がある

ご自身での経営が難しくなった場合に、会社を廃業する以外にも後継者や第三者に「事業承継」をするという選択肢があります。事業承継が成功した場合には、会社の歴史や技術、ブランドを次世代に残すことや従業員の雇用や取引先との関係も守ることができるかもしれません。

項目 廃業 事業承継
会社・事業の存続 消滅する。 存続する。
経営者の負担 経営責任から解放される。 経営責任から解放されるが承継支援や保証の引継ぎ等が必要。
従業員の雇用 雇用は失われる。 雇用を守ることが可能。
取引先との関係 契約が終了し、影響を当たる可能性が大きい。 取引先との契約も承継し、取引先の経営安定につながる。
資産・ノウハウの維持 資産は売却・清算し、ノウハウは引き継がれない。 資産やノウハウを一体のものとして次世代に引き継ぐことが可能。
借入金 返済の必要あり。返済困難な場合、破産手続等を検討。 借入金も承継される可能性あり。承継されない場合は返済や破産等を検討。
費用・対価 清算費用・解雇手当や対象金・賃貸物件の原状回復費等を要する場合がある。 仲介手数料など承継手続き費用がかかる場合がある一方、事業売却の対価を得ることができる可能性もある。
時間 事業承継に比較すると短時間で完了する。 相手探しや後継者育成に時間を要する。

センターからのメッセージ

廃業は経営者にとって大きな決断ですが、同時に「事業を残す」という選択肢も存在します。 
「会社をどうするか」は経営者ご自身の人生設計と深く結びつくものです。 
当センターでは、事業承継の相手を探索することから具体的な承継の手続きの支援、条件面の整理など事業承継全般を公的機関として原則無料でご支援しています。親族や従業員に候補者がいる方でも、そうでなく第三者に承継したいという方でもご相談が可能です。
ぜひ廃業と事業承継の両面を比較し、最も納得できる未来を選んでいただきたいと考えています。